いつかまた、青空の下で。

奈良、関西、金沢、東京と生活の拠点を移しながら、様々なよしなしごとを綴ります。

「千鳥ヶ淵戦没者墓苑」と「昭和館」。

九段下で所用があったため、土曜日にもかかわらず、午前中から外出しました。練馬で乗り換えて、都営大江戸線に乗り換え、都営新宿線九段下に行くという都営地下鉄を乗り継ぐパターンを利用してみました。都営新宿線はほとんど利用したことがなかったので、何だか新鮮な気分でした。

所用が終わり、九段下駅に向かっていると「千鳥ヶ淵戦没者墓苑」の表示が。話やニュースなどでは聞いていましたが、実際に訪れたことはなかったため、時間があったこともあり訪れてみることにしました。

07112401大通りを450mほど入ったところに千鳥ヶ淵戦没者墓苑はありました。思っていたよりも小ぶりで、戦没者全員を慰霊するには少し簡素な印象です。ただ、展示されていた写真を見ると、仏教や神道キリスト教者の慰霊がなされいている様子で、また、自衛隊の方々も訪れているようです。訪れている人は三連休の中日ということもあったせいか、そんなに多くはありませんでした。靖国神社を訪れる人はもっと多いんでしょうね。ひょっとしたら、この施設のことをご存じない方も多いのかもしれません。

本屋・六角堂に安置されている石棺には無名戦士の遺骨が収められているようです。僕もわずかばかりの寄付をさせていただきました。心なしか、墓苑の中の空気はひんやりとした気がしました。 あんまりそういうのは信じないタイプなんですが、何かやはり空気が違う気がします。

07112402僕はどちらかというと中道やや右の意見を持つ者ですが、靖国神社の問題に関しては、政府の公的施設として、墓苑をさらに整備して戦没者慰霊によりふさわしい施設にしていき、公的の慰霊施設としていく、という考えに賛同していましたが、今回の訪問でよりその気持ちが強くなりました。もちろん、靖国神社へ個人的に参拝することは何の問題もないと思います。ただ、煽るような感もある「遊就館」については少し複雑な感情を持ちますが・・・。

07112403 そんなことを考えながら大通りに戻り歩いていき、九段下駅の入口のすぐ横に「昭和館」という施設があることに気づきました。不覚ながら、このような施設があることを知りませんでした。墓苑を訪れた後、ということもあり、入館してみることにしました。入場料も大人300円と比較的リーズナブルだと思います。

展示内容は様々でしたが、昭和10年から30年にかけてのニュース映画や暮らしの展示物、チラシなどが時系列順に並べられていました。そのうち、ボランティアの方が声をかけてこられました。実際に戦地に赴き、お腹に手榴弾を抱え込み突撃する寸前の経験をされたこともあるそうです

いろいろ貴重なお話を聞かせていただきましたが、一番印象に残ったのは「靖国神社に展示されている、特攻隊員の最後の書状の展示の仕方は、特攻隊員を冒涜しています。本心であんなことを書く訳ないじゃないですか。あれだけは許せません。」という言葉です。実際に戦った方は靖国神社遊就館を擁護する方がほとんどだと思っていましたので、正直言うと少し驚きました。でも、直接お話を聞くと納得できました。

私の祖父も中国戦線で戦い、何とか生きて帰還しましたが、やはりかなりの苦労があったせいか、あまり話したがりませんでした。ただ、「食べるものがなくて仕方なく、泥水で団子を作りそれで飢えをしのいだこともあった。」とポツリ言っていたことを思い出します。

そんなこともお話していると、ボランティアの方は最後に「これからの方は、どうか戦争の悲惨さを良く考えながら次の世代に橋渡しをしていってください。」と仰っていました。肝に銘じたいと思います。

皆さんも九段下を行くことがあれば一度訪れてみてください。お勧めします。