いつかまた、青空の下で。

奈良、関西、金沢、東京と生活の拠点を移しながら、様々なよしなしごとを綴ります。

「NHK受信料不払いに罰則も」をあえて弁護すると。

新聞各紙はじめ、インターネットでも飛び交っている、麻生総務大臣の参院予算委員会でのNHK不払いに罰則も」のニュース(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050309-00000180-kyodo-polなど)ですが、ざくっとブログを見ても反発の声が多いですね。昨今の不祥事もあり、当然と言えば当然かもしれません。しかし、敢えてこのニュースをもとに、日頃から思っていることを書いてみたいと思います。少し堅い話題で申し訳ありません。

NHKの不払い問題について、不祥事を理由に不払いをすることは現在、放送法上は法に反していても罰則はないため、不払いの人自体に問題は起こりません。ただ、まず一つ考えていただきたいのは「今NHK受信料をちゃんと払っている人との公平性」です。ここでは放送法第32条第1項の正当性については特に論評しません。ただ、「悪法も法なり」という格言から言っても、やはり曰く付きとはいえ法として施行されているものは、よほど酷い法でない限り、有効だと考えるべきです。特に、不満を持ちながらも受信料を払っている人との格差(カラー受信料12ヶ月払いで約15,000円、10年で約15万円!)を考えると罰則がないため払わない人が毎年得をしている、と言うことになってしまいます。

やはり、この構造を変えていくには、不払いに対してペナルティを設けるか、それとも受信料の徴収自体をやめ、NHKの収益構造を変えるか、のいずれかで、いずれにしても必ず放送法を改正する必要があります。そうでなければ、将来NHKという公共放送(決して国営放送ではありません)を維持していくことができなくなってしまいます。もちろん、金銭的な不祥事等は論外ですが、それを差し引いても放送局を維持するためには収益源が必ず必要です。ニュースによると、政府広報などに限ってCMを認める、という案もあるようですが私は極力これは避けてほしいと思っています。問題を抱えてはいますが、現在は不完全ながらも政府から一歩引いた公共放送を維持できていると思います。それが政府広報という形で明確な「圧力」ができれば現在より政府寄り=国営放送に近づく可能性が出てきます。さらに、どこまでが「政府」広報で、どこからが「与党」広報なのか、明確に線引きができるかどうかわかりません。また、いわゆるTV携帯やTVパソコンなどの販売価格に上乗せ、と言う案にも反対です。これこそ、現在の日本の大きな問題の一つ、「取りやすいところからとって体裁を整える」という悪癖そのものだからです。今までの不公平感の解消にはほど遠いと考えます。

常日頃思っていることですが、戦後の日本は物言わぬところには厳しく対応しながら、いわゆる物をいう「うるさい」存在には腰が引けてしまい、結果的にはより的確な法改正や厳正なる法執行を怠っているところがあると思っています。このNHK受信料問題もその一つです。払う人からはちゃんともらっておきながら不払いの人に対して罰則も設けず、結局払った人が損をする。これが正しいと言えるのでしょうか。このようなことが他にも一杯ありますし、現在日本に停滞感がある原因の一つだとさえ思っています。ただ、このような状態を放置してきた、政治家、行政がもちろん最も悪いのですが、それを容認してきた住民にも責任の一端はあると思っています。もし、不満があるのであれば行動を起こすべきです。投票行動であるのか、住民運動であるのか、それは人それぞれですが、行動を起こすのが民主主義の第一歩だからです。ただ、行動するに当たってはちゃんとルールを守ることです。脱法行為や違法行為、あるいは行政への嫌がらせは反発を招くか、悪例を新たに作るだけで、問題解決にはつながりません。正当な手段で政治家や行政に「意志」を伝えていくことが必要です。

話がそれてしまいましたが、それでは、お前はどう考えるのか、とお思いになるかもしれません。イギリス、フランス、ドイツのように罰金制度を設けているそうです。韓国では電気料金と一緒に強制的に徴収しているとTVで言っていました。受信料を払いたくなければ電気も使用できないわけです。ある意味究極の強制手段とも言えます。ただ、これも、(かなり少ないと思いますが)TVを全く見ない、持っていない人にとっては理不尽な制度になってしまいます。私も残念ながら妙案を持っているわけではありません。ただ、家電リサイクル法が一つのヒントとなるのでは、と思っています。ご存じの通り、リサイクル対象家電は新規購入時に上乗せして支払うか、新規購入時に支払っていない場合は廃棄時にリサイクル料金を支払う制度です。これを応用して、現在の受信料制度を止め、新規購入時か廃棄時にTVを見ることができる機器に対して受信料を徴収する、ということができれば、かなり公平に近くなるのでは、と考えます。ただ、正確な計算をしたわけではありませんが、現在の12ヶ月受信料とTVの耐用年数を考慮した場合、リサイクル料金と同レベルに設定すれば、収益が縮小する可能性が高くなると思われます。その収益不足分をどうするのか、NHKの規模を縮小するのか、それとも他の収益も追求すべきか、などの問題は残ってしまいます。

結局、私にも今は結論は出せませんが今後も考えていきたいと思っています。また、一人一人が考え、考えた結果を何らかの行動によって政治家や行政に「意志」を伝えるという、基本的ながら今の日本にとってあまりうまく機能していないこの流れがこのような身近なところから変わっていけば良いなあ、と心から思っています。

今回はいつもと違った投稿になってしまいました。まあ、たまにはということでどうかお許しを。